いわぎきょう |
聖句
「女が自分の乳飲み子を忘れるであろうか。 母親が自分の産んだ子を憐れまないであろうか。 たとえ、女たちが忘れようとも わたしがあなたを忘れることは決してない。」(旧約聖書イザヤ書49章15節)
絵本の読み聞かせ
秋の夜長の季節になりました。読書の秋でもあります。子育ての親にとって、子供に絵本の読み聞かせをする機会があることでしょう。8月、職員の研修会が熊本であり、私も参加しました。グループに分かれて分かち合った時、福岡の幼稚園の或る若い職員が「私は最近、絵本の読み聞かせより、YouTubeで絵本を見せるようにしています。その方が、伝える情報量が多いし、動画だからよりリアルで良いと思っています。」という意見がありました。それには一理ありますが、読み聞かせの良さも忘れてはいけないと思います。言葉を学ぶだけでなく、感情の発達を促し、創造力を高め、想像力も豊かにすると言われています。
どんな人も、人との交わりによって成長するわけですが、人の声を通して、言葉を通して交わることの大切さは、視覚、触覚による交わりの重要さと同様に大切だと思います。母親の声を通して、感情が伝わり、言葉を学び、雰囲気を通して愛情を感じ取ります。親子が一緒に絵本の世界へ入って同じ時間を過ごすことによって集中力も親子の絆も強まるのです。絵本の読み聞かせは、幼児にとって心と頭の成長のためのビタミン剤のようなものだと思います。母と幼子は肌と肌を接触させるスキンシップは毎日あるでしょうが、愛情深く向き合って二人だけの声によるスキンシップはどれほどあるでしょうか。絵本の読み聞かせは、とても良い母と子の声による親密な交わりであり、いつまでも心に残る思い出となるでしょう。
科学の発達した時代ですからYouTubeで絵本を見せるのもたまには良いのかもしれませんが、しかしどんな時代になっても絵本の読み聞かせの良さが色あせることはないでしょう。私たちの園の職員は絵本の読み聞かせをしばしばしています。親が自分の子に読み聞かせをすることは、さらに重要なことだと思っています。それは、パソコンやスマホのメールで交わるのが一般的になっても、手書きの手紙による交わりは亡くなることはないのと同じだと思います。あるいは、市販の粉ミルクでも乳飲み子は育ちますが、母乳で育てることはもっと素晴らしいのと同じだと思います。だから是非、我が子に絵本の読み聞かせをしてください。そして親子の強い、深い絆ができますようにと願っています。忙しい毎日でしょうから、なかなか自分の子と時間かけて親しく向き合うことは難しいのでしょうが、子供は無限の可能性を秘めたかけがえのない存在ですから、時宜にかなった親子の素晴らしい交わりの時をもって欲しいと思います。
この世の全てのものは神さまの造られた被造物です。キリスト者は、神さまを父なる神と呼んでいます。父なる神さまが描いた大自然という絵本を通して神さまは私たちに語りかけ、育て導かれるのです。自然を観察し、賛美し祈る時、神の偉大さ、恵みの豊かさを感じるでしょう。そこから湧き出るインスピレーションがあるかもしれません。神さまは、今月の聖句にあるように、私たちのことを決して忘れることなく、いつも私たちのそばに居て、その絵本の読み聞かせをしてくださる方なのです。
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