「よくよくあなたに言っておく。人は上から生まれなければ、神の国に入ることはできない。」(ヨハネ福音書3章3節)
幼児は間接的に学ぶ
唐津カトリック幼稚園 園長 江夏国彦
今月は、幼児の学び方の特徴についてです。幼児は、好奇心旺盛で、観察や模倣を通じて多くのことを学びます。まだ抽象的な概念を理解する能力が十分発達していないため、具体的な体験や遊びを通して学びます。「幼児は間接的に学ぶ」とよく言われるのはこの意味です。子どもたちが特別な教育を受けるのではなく、生活の中で自然に知識やスキルを習得するのです。
例えば、ブロックについて教えようとする時に、形や色の違いあること、触ると違った感覚などがあることを、言葉で教えても理解できません。それを使って楽しい遊びをしながら学びます。お友達と一緒に作業することでお友達からも学びます。共同作業の楽しさなどは、いくら言葉で教えてもわかりません。
幼児の学び方の二つ目の特徴は、興味を持ったことに対して強い動機を持ちます。遊びや体験を通じて学ぶことで、自然に興味を引き出し、学びを深めることです。
さらに、三つ目の特徴は、幼児は他の子どもや大人との関わりを通じて学びます。誰かと一緒に遊ぶことで、社会的に必要な礼儀や人との交わり方の能力を育てることができるのです。
このように考えてくると、幼児にとって、遊ぶことがどれほど重要なことか、わかります。だからいつでも自由に遊べるように環境を整えることが大切になります。
ところで今月の聖句ですが「上から生まれる」とはどういう事かわかりにくいのではないでしょうか。それでもこの世の自然的な事柄を超える話であろうと思われます。幼児が抽象概念の言葉をまだよく理解できないのと同様に、私たち人間は、この世を超える事柄は理解できないので、神であるキリストは、そのような場合、人間が理解できる事柄の喩えを用いて話されたのです。だから、いつも何が何に喩えてあるのか、喩えを通して何を語っておられるのかを考える必要があります。
聖句にある「上から」とは、上下の方向を言っているのではなく「神の恵み(神の霊)によって」の意味です。「生まれる」は、人間が生まれて生命が息づき始めることの喩えであって、出産の意味ではありません。ここでは「新しい命が始まる」という意味です。しかし、その命は生物学的な命ではありません。自然を超えた目に見えない事柄を述べています。それは霊的なものであり、神とともに、キリストにつながって共に生きる新しい命のことです。さて、今日の聖句をあなたはどのように受け止めますか。