聖書のことば 12月号

御船山楽園 2024.11

 聖 句

「いと高きところには、栄光、神にあれ。地には平和、御心に適う人にあれ。」( ルカによる福音書 2章14節)


クリスマスと神の国


唐津カトリック幼稚園 園長   江夏國彦

 イエス・キリストがお生まれになった当時のユダヤの人たちが、神の国はいつ来るのか尋ねたとき、イエスは「実に、神の国はあなた方の間にあるのだ」と答えられました。意外な答えだと思われる方が多いでしょう。どのように理解したらよいのでしょう。

 神の国は、いつ来るのか、どこに来るのかと言うような、時間的でもなく、場所的なものでもないことを意味しています。そうではなくて、神の霊である聖霊が思いのままに働かれるとき、そこには神の国が到来しているのです。

 だから、私たちがお互いに、認め合い、ゆるし合い、愛し合っている者同士の人間関係、その心と心の間には喜びがあり、既に神の霊、聖霊が働いていて、その状態が既に神の国が実現していることになるのです。従って場所も、時間も超えた次元であり、むしろ心の状態が問われているのです。ただし、私たちは完全な状態には達していないので、完成に向かうように導かれているのです。つまり、既に神の国は到来しているが、まだ完成していないと言えます。

 聖パウロは「神の国は、聖霊によって与えられる神の義と平和と喜びです。」(ロマ書:14:17)と述べています。クリスマスは、その実現であり、神の国の雛形であり、この世においての始まりなのです。

 人類救済の出来事は、乙女マリアが身ごもるという、まさに聖霊による業によって始まり、神の義の実現に向かっているのです。救い主の誕生は、喜びと愛と平和で満たされていました。その救い主が、世の終わりに再び来られる時に、神の国は完成するというのです。   

 その事を信じる人々にとって、幼子メシアの誕生、すなわちクリスマスは、この世において神の国はすでに始まり、到来した事を意味します。そして人々は完成に向けての希望を持って生きているのです。この幼子を受け入れる全ての人々が神の国に導かれますように。