聖書のことば 7月


感謝する心

唐津カトリック幼稚園 園長 江夏 國彦

 マルコによる福音書に次のようなエピソードがあります。汚れた霊に取りつかれた幼い娘を持つ異邦人の女がイエスの足元にひれ伏して、娘から悪霊を追い出してくださいと頼んだ時、イエスは「まず、子供たちに十分食べさせなければならない。子供たちのパンを取って、子犬にやってはいけない。」と言われた。女が応答していった言葉は「主よ、しかし、食卓の下の小犬も、子供のパン屑はいただきます。」(マルコ7:28)でした。この話は、子供をイスラエル人、子犬を異邦人に譬えているのです。イエスの言葉は差別的譬えではないでしょうか。当然、この異邦人であるこの女は差別的言葉を受けたと感じたでしょう。

 イエスに対する頓智のきいた受け応え、そして必ず癒してもらえると思う深い信仰から出た彼女の態度に驚かされます。イエスはこの女の願いを叶えられたのです。この女は元気になった自分の娘を抱きしめてどんなに喜んだことでしょう。

 イエスの一見、差別的と思われるような言葉が、この女から深い信仰を現す言葉を引き出し、その謙虚な言葉によって、私たちが、神のみ前にいかにあるべきかを教えられます。私たちが持っているもので、神から与えられなかったものは何一つありません。神から与えられたものに対して、私たちは感謝すべきですし、受けた恵みを当然のように思ってはなりません。聖パウロは「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。」(Ⅰテサロニケ51618)と勧めています。感謝の心はさらに多くの神の恵みを生み出します。感謝する心を大切にしましょう。