聖書のことば 9月

幼稚園で飼っているウサギのショコラ


いつまでも存続するもの

唐津カトリック幼稚園 園長 江夏 國彦

 「いつまでも存続するものは、信仰と希望と愛と、この三つである。このうちで最も大いなるものは、愛である。」  (新約聖書コリント人への第1の手紙1313節)

 秋の深まりの中で、昔親しかった亡き人々のことが偲ばれることがあるのではないでしょうか。20年以上前のことですが、一人の信徒のことが思い出されます。彼は病気だったので自分の命は、あと2年と思っていました。そこでポストカプセル郵便に、妻宛の手紙を誰にも話さずに投函しました。

 ポストカプセル郵便とは、1985年の科学万博で人気を博した郵政省の企画で、21世紀になった元旦に配達しますというものでした。彼は2年どころか、21世紀になる少し前まで生きることが出来ました。信仰深く愛妻家であった彼の葬儀ミサの司式を、私がすることになりました。葬儀の時の聖書のみことばは、今月紹介している聖書箇所でした。

 そして彼の葬儀の数か月後の21世紀の最初の元旦に、彼の妻のもとにポストカプセル郵便が届いたのです。彼が内緒で投函してから15年経っていました。それを受け取った時の彼女の思いを信徒の皆さんに寄稿してくださったのです。タイトルは「只今別居中!」となっていました。

 この世とあの世で、別れた暮らしを別居暮らしと捉えて綴った文章は、変わることのない夫婦愛を感じさせる内容でした。今はもう別居暮らしは終わり、永遠の愛をさらに浄化させ、美しい世界で仲良く暮らしておられることでしょう。