聖書のことば 6月:神さまに委ねる心

 唐津カトリック幼稚園  園長 江夏 國彦

 今月の聖書のことばは、ペトロの手紙からです。思い煩いのない人はありません。特に子育て真っ最中の人々にとっては当然でしょう。心配事が絶えない日々が続きます。それをどのように受け止めて、付き合っているのでしょうか。聖ペトロは次のように勧めています。「あなたがたの思い煩いを、いっさい神にゆだねなさい。神があなたがたのことを心配してくださるからです。」(新約聖書 ペトロの第1の手紙:57節)

  ときにはわたしたちの悩みは執拗に付きまといます。忘れようとしても、一時的にできても、また悩みが涌いてきます。誰かに相談することはいいことですが、必ずしも解決するわけではありません。それどころか益々悩みは深まる場合もあるのです。人間は、寄り添い慰めることはできても、根本的な解決を与える力はないからです。聖ペトロは、自分の力にも、他人の力にも、お金にも、政治的な力にも、どんな力にも本当の解決を与えてくれる力はないことを体験的に悟ったから、今日の聖句の言葉を残したのでしょう。

  幼子が嬉しい時も、悩んでいる時もその思いを、自分を生んでくれた母に打ち明け、共に喜び、共に考えてくれることを願うように、大人も、苦しいとき、悩んでいるときに、わたしたちを創造してくれた父なる神さまのもとに立ち返るべきです。そして神さまにおまかせしましょう。真の解決を与えてくださる神さまと対峙し、祈り、対話する中で、慰めと真の解決を得るのです。心の奥深くから納得し、苦しみから解放されるには長い道のりが必要かもしれません。しかし、本当の解決を得るためには、この道程を経なければならないのだと思います。わたしたちに、神さまにおまかせする心、委ねる心が育ちますように。

 

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