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伊万里湾・・・「小花会」は伊万里のトラピスト女子修道院を訪問 |
聖 句
「(わたしたちは)、苦難をも誇りとします。わたしたちは知っているのです、苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。」(ローマの信徒への手紙5章:3-4節)
別れと旅たち
唐津カトリック幼稚園
園長 江夏 國彦
風薫る季節に卒園式を迎えようとしています。卒園児は新たな出発をします。親しくなったお友達や先生たちとの別れの辛さを初めて体験する園児の心境を思うと、試練を乗り越えてほしいという願いから、元気づけたくなります。親も同じく新たな出発の季節です。厳しい冬を通り越さなければ、花咲き乱れる春が来ないように、私たちの人生の歩みも、苦労の多い子育ても、長い忍耐と苦しみを通り越さなければ、魂の底から溢れる喜びは訪れません。自然界の今の美しい季節は私たちに、ただ空しく苦労を耐えているのではなく、いつか花開く時が来るという希望を抱かせてくれます。
先日教会の信者さんのお葬式があり、「千の風ホール」という社名の葬儀屋さんが来てくださった。その社名を聞いた時、思い出したのは、秋川雅史が歌って、多くの人に知られるようになった「千の風になって」という歌でした。私が大学生時代に学生寮で共に過ごした友人、新井
満(1946⁻2021)氏が作者不詳の詩を日本語に翻訳し、曲をつけて彼の親友に送った作品です。彼の友人の妻が急逝した時、慰めるために、シンガーソングライターでもあった新井氏が自ら作曲し、歌ってCDにして友人に贈ったのです。
人は、出会いと別れ、そして旅たちと新しい出会いを繰り返しながら、しかも様々な苦しみや試練をくぐり抜けて生きています。神さまから、人々から多くの恵みを受けて、成長してゆきます。最後は、皆平等にこの世を去ることになるのです。だから、楽しい子育て真っ最中であっても、愛し合う家族が幸せの絶頂にあったとしても、ある瞬間、別れの日を予感する時もあるでしょう。子どもは成長して、いずれ親との別れの時が来ます。どんな幸せの時にも終りがあり、いつか別れの日が来ることを知っているからこそ今を大切に生きるのです。そうすれば真実に愛し合って生きてきた者は、どのような別れが訪れても素晴らしい別れをすることができるばかりでなく、希望を持って新たな旅立ちをすることができるからです。